ドイツへの旅行やワーホリを控えるあなたへ。ドイツといえばやはりビールですね。私が2003年秋からフランクフルトでワーホリ生活をした際も、スーパーに並ぶ安くて美味しいビールの豊富さに驚きました。この記事では、現地のスーパーで気軽に買えるおすすめローカルビールや、知っておきたい特有のビール文化をご紹介します。
水より安い?ドイツのスーパーにおけるビールの位置づけ
ドイツに到着して初めて地元のスーパーマーケットに足を踏み入れたとき、飲料コーナーの広さとその価格設定に驚かれるかもしれません。ドイツの人々にとってビールは単なる嗜好品ではなく、生活に深く根付いた日常的な飲み物として愛されているようです。
日常生活に根付く「液体のパン」
ドイツでは古くからビールが「液体のパン」と呼ばれ、日々の食卓に欠かせないものとして親しまれてきた歴史があると言われています。私がフランクフルトに滞在していた2003年当時も、夕方になるとスーパーのレジにはパンやチーズと一緒に、数本の瓶ビールが入ったカゴを持つ人々の姿が当たり前のように見られました。仕事終わりの一杯や、週末に友人たちと語り合う時間など、あらゆる日常のシーンにビールが自然と溶け込んでいるように感じられます。
驚きの価格設定と種類の多さ
スーパーの棚を見ると、500mlの瓶ビールが数十セント(100円前後)から売られていることも珍しくありません。場合によっては、同じ容量のミネラルウォーターよりもビールの方が安いことさえあるようです。また、バラ売りだけでなく「Kasten(カステン)」と呼ばれる20本入りのケースごと買っていく人も多く、その消費量の多さを物語っています。陳列されている銘柄も、全国的に有名な大手メーカーのものから、その地域でしか消費されない小さな醸造所のものまで幅広く、毎日違うものを飲んでも数年はかかると言われるほどの種類が存在します。
では、実際にスーパーに行くとどのような種類のビールに出会えるのでしょうか。
押さえておきたい!ドイツビールの主要な種類
ドイツビールと一口に言っても、その製法や味わいによっていくつもの「スタイル」に分かれています。自分の好みに合った一杯を見つけるために、まずは代表的なビールの種類をいくつか把握しておくのがおすすめかもしれません。
黄金色でスッキリとした「ピルスナー(Pilsner)」
ドイツ全土で最も広く飲まれているスタイルが、このピルスナーと言われています。日本の一般的なビールの多くもこのスタイルをモデルにしているため、日本人にとっても非常に馴染み深い味わいです。透き通った美しい黄金色で、ホップの爽やかな香りとキレのある苦味が特徴とされています。どんな料理にも合わせやすく、仕事終わりに喉の渇きを潤す最初の一杯として最適かもしれません。
南ドイツの誇り「ヴァイツェン(Weizen)」
主にバイエルン州など南ドイツ地方で伝統的に造られているのが、小麦を多く使用したヴァイツェン(白ビール)です。グラスに注ぐと少し白濁しており、バナナやクローブを思わせるフルーティーで甘い香りが漂うのが大きな特徴と言われています。苦味が少なく口当たりが非常にまろやかなので、ビールの苦味が少し苦手という方でも美味しく飲めることが多いようです。
麦芽のコクを味わう「ヘレス(Helles)」と「ドゥンケル(Dunkel)」
ヘレスは「明るい」を意味し、ピルスナーよりもホップの苦味が控えめで、麦芽の甘みと旨味がしっかりと感じられるマイルドなビールです。南ドイツを中心に人気を集めているようです。一方のドゥンケルは「暗い」を意味する黒ビールの一種で、ローストした麦芽の香ばしい風味とカラメルのようなほのかな甘みが特徴です。見た目の色の濃さに反して、意外にもスッキリと飲みやすい銘柄が多いと言われています。
種類がわかったところで、フランクフルト周辺を含め、スーパーで手に入りやすいおすすめの銘柄を見ていきましょう。
スーパーで買える!おすすめ定番・ローカルビール図鑑
現地のスーパー、例えばREWE(レーヴェ)やAldi(アルディ)などの飲料コーナーには、壁一面にビールが並んでいます。数ある中から、旅行者やワーホリ滞在者でも手に取りやすい、おすすめの銘柄をいくつかピックアップしてご紹介します。
どこでも買える絶対的定番「クロムバッハ(Krombacher)」や「ベックス(Beck’s)」
ドイツ全土のほぼすべてのスーパーやキオスクで手に入るのが、全国規模の大手ブランドです。クロムバッハは自然豊かな水源の水を使い、バランスの取れたクリアな味わいが人気のピルスナーと言われています。また、緑色のボトルが目を引くベックスは、ブレーメン発祥のスッキリとした辛口ピルスナーで、世界中で愛されている銘柄です。迷った時は、まずこのあたりから試してみるのも良いかもしれません。
フランクフルト周辺のローカルな味「ビンディング(Binding)」と「リッヒャー(Licher)」
私が滞在していたフランクフルトやその周辺のヘッセン州を訪れるなら、ぜひ地元の銘柄も味わっていただきたいです。ビンディングはフランクフルトを代表する醸造所で、レストランやパブでもよく見かける地元密着型のビールです。また、少し郊外のリッヒという街で造られているリッヒャーも、ヘッセン州のスーパーでよく見かける定番です。「自然の中から生まれた」というキャッチコピーの通り、クセがなく非常に飲みやすいピルスナーとして地元の人々に愛されているようです。
バイエルン気分を味わえる「パウラーナー(Paulaner)」の白ビール
南ドイツに行かなくても、全国のスーパーで手軽に本格的なヴァイツェンを楽しめるのがパウラーナーです。ミュンヘンを本拠地とするこのブランドの白ビールは、きめ細やかでクリーミーな泡と、酵母由来のフルーティーな香りが絶品とされています。週末の少し贅沢なリラックスタイムに、専用の背の高いグラスに注いでゆっくりと味わってみるのも素敵な過ごし方かもしれません。
お気に入りの銘柄を見つけたら、ドイツならではの美味しい飲み方やルールも知っておきたいところです。
郷に入っては郷に従え。ドイツ流のビールの楽しみ方
せっかく本場ドイツでビールを味わうなら、現地の人が実践している「美味しく飲むための流儀」を取り入れてみてはいかがでしょうか。より深く現地の文化に触れることができるはずです。
種類に合わせてグラスを変えるこだわり
ドイツの人々は、ビールのスタイルごとに最適なグラスを使い分ける傾向があります。例えば、ピルスナーなら泡立ちを保つチューリップ型のグラスや細長いグラス、ヴァイツェンなら酵母と豊かな香りを包み込む背の高い専用グラスといった具合です。スーパーの食器コーナーや日用品店でビールグラスが安く売られていることも多いため、滞在先の部屋用にマイグラスを一つ購入してみるのも良いかもしれません。専用グラスで飲むと、不思議と味わいが一段と豊かに感じられると言われています。
乾杯(Prost)のときは必ず相手の目を見る
友人やシェアメイトと一緒に飲む際、ドイツの乾杯の習慣にはとても大切なルールがあると言われています。グラスを合わせて「Prost!(プロースト:乾杯)」と声をかけるとき、必ず相手の目をしっかりと見つめ合うことです。目を逸らして乾杯するのはマナー違反とされ、冗談交じりに「7年間の不運に見舞われる」と言われることもあるそうです。フランクフルトのパブで現地の友人と飲んだ際も、全員がしっかり目を見合わせてからグラスを傾けていたのが非常に印象的でした。
冷やしすぎはNG?適温で味わう本来の旨味
日本ではグラスもビールもキンキンに冷やして飲むのが好まれますが、ドイツでは少し事情が異なるようです。冷やしすぎるとビールの豊かな香りや麦芽の旨味が飛んでしまうため、ピルスナーで7〜9度、ヴァイツェンや黒ビールなら10〜12度程度の、少しぬるめの温度でじっくりと味わうのが主流とされています。スーパーで常温のまま売られている瓶ビールを買って帰り、冷蔵庫で少しだけ冷やして飲むのが、現地の味を再現するコツかもしれません。
ここまでのビール事情を把握すれば、あなたのドイツ生活もより一層風味豊かなものになりそうです。
まとめ:お気に入りの一杯を見つけて、豊かなドイツ滞在を
今回は、ドイツのスーパーで買えるビール事情から、代表的な種類やおすすめ銘柄、そして現地の飲み方のマナーについて解説しました。この記事の重要なポイントは以下の通りです。
・スーパーでは水と同等かそれ以下の手頃な価格で、多種多様なビールが購入できる。
・定番のピルスナーから、フルーティーなヴァイツェン、コクのある黒ビールまで選択肢が豊富。
・クロムバッハなどの全国銘柄に加え、フランクフルトのビンディングなど地元の味も楽しめる。
・種類に合ったグラスを選び、乾杯の際はしっかり相手の目を見るのがドイツ流のマナー。
フランクフルトで過ごした1年間、スーパーの巨大なビール棚の前で「今日はどれにしようか」と迷う時間は、日々のささやかな楽しみでした。様々な種類を試していくうちに、自分の好みが少しずつ分かってくる過程もまた、現地生活ならではの醍醐味と言えるでしょう。
あなたもぜひ、ドイツのスーパーに足を運んだ際は色々なボトルのデザインやラベルを見比べながら、直感で気になるものをいくつか試してみてください。現地の文化に触れながら味わう自分だけの最高の一杯が、あなたのドイツ滞在をさらに彩り豊かなものにしてくれるはずです。


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