フランクフルトの美術館群(Museumsufer)。アート好き必見のエリアを効率よく回るコース

ドイツ・フランクフルトと聞いて、金融街や巨大な乗り継ぎ空港のイメージを強く抱く方は多いかもしれません。しかし、マイン川沿いに広がる「ムゼウムスウーファー(美術館群)」は、ヨーロッパ有数の芸術エリアと言えるでしょう。この記事では、数多くの美術館が立ち並ぶこのエリアを、アート好きのあなたが限られた時間で効率よく満喫するための具体的なモデルコースやコツをご紹介します。

マイン川沿いに広がる芸術のオアシス、ムゼウムスウーファー

フランクフルトの中心部を東西に穏やかに流れるマイン川。その両岸、特に南岸のシャウマインカイ通り沿いには、約15もの多彩な美術館や博物館が密集しています。このエリア全体が「ムゼウムスウーファー(Museumsufer)」と呼ばれており、美術、建築、映画、歴史、ユダヤ文化など、あらゆるジャンルの知が集結している場所と言えるでしょう。

私がフランクフルトでワーキングホリデーをしていた2003年の秋から2004年にかけて、休日のたびに一人で足を運んだのがこのマイン川沿いのエリアでした。語学学校のドイツ語の授業で疲れた頭をリフレッシュさせるのに、プラタナスの並木道を散歩しながらふらりと美術館に立ち寄る時間は、私にとってかけがえのない癒しのひとときだった記憶があります。近代的な高層ビル群を背景に、19世紀の豪奢な邸宅を改装した美しい美術館が並ぶ風景は、過去と未来が交差するフランクフルトならではの魅力的なコントラストを生み出しているかもしれません。

川沿いの美しい景観を楽しみながらの散策だけでも十分に心が満たされますが、せっかくなら素晴らしい展示の数々を無駄なく堪能したいものです。次は、賢くお得に巡るための事前準備についてお伝えします。

効率よく巡るためのチケット選びとスケジュールのコツ

複数の美術館を1日や2日でハシゴして回る計画を立てている場合、各館の窓口で毎回入場チケットを買うのは、予算的にも時間的にも少しもったいないかもしれません。そこでアート好きのあなたに強くおすすめしたいのが、「ムゼウムスウーファー・チケット(Museumsufer-Ticket)」という共通入場券の活用です。

このチケットは、購入日から連続する2日間、マイン川沿いだけでなくフランクフルト市内に点在する対象の美術館・博物館(約39施設)に何度でも入場できるという、非常に便利なアイテムと言えるでしょう。一つの美術館の入館料が平均して10〜15ユーロ前後であることを考えると、2〜3館回るだけでも十分に元が取れる計算になるかもしれません。ワーホリ時代、語学学校の学生証を提示して少し安くこのチケットを手に入れ、週末の2日間を使ってひたすら絵画や展示を眺めて回ったのは、今でも色褪せない良い思い出です。なお、ワーキングホリデーなどで長期滞在される方には、1年間有効な年間パス「ムゼウムスウーファー・カード」も選択肢に入ってくると思われます。

また、スケジュールの立て方にも少し注意が必要です。ドイツの多くの美術館は、月曜日が休館日となっている傾向があります。旅行の日程を組む際は、月曜日を外して美術館巡りの日を設定するのが無難と言えそうです。

準備が整ったところで、いよいよ具体的な見学ルートへと足を踏み入れてみましょう。

1日で大満足!アート好きに捧げる王道モデルコース

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午前はシュテーデル美術館で巨匠たちの世界へ

午前中の体力と集中力が最も充実している時間帯にまず訪れたいのが、ムゼウムスウーファーの中心的存在である「シュテーデル美術館」です。ここは、ドイツで最も重要な美術館の一つとされており、14世紀から現代に至るまでのヨーロッパ美術700年の歴史を網羅しています。

ボッティチェリ、レンブラント、フェルメールといった古典の巨匠から、モネやルノワールなどの印象派、そしてピカソまで、美術の教科書で見たことがあるような名画の数々を間近で鑑賞できるかもしれません。館内は非常に広大なため、すべてを隅々までじっくり見ようとすると半日以上かかってしまうことも考えられます。事前に見たい作品や時代エリアをある程度絞っておくのが、効率よく楽しむための秘訣と言えるでしょう。近年増築された地下の現代アートエリアも、空間そのものが芸術作品のようで必見です。

ランチタイムはマイン川の風を感じながら

シュテーデル美術館でたっぷりと芸術に浸った後は、すぐそばにあるマイン川沿いの遊歩道で一休みしてみてはいかがでしょうか。天気の良い日には、川沿いの芝生に座って近所のパン屋で買ったプレッツェルやサンドイッチなどの軽食をつまむのも、現地の人のようなリラックスした過ごし方で素敵かもしれません。また、美術館に併設されているお洒落なカフェや、シャウマインカイ通りから少し路地に入ったザクセンハウゼン地区の伝統的なレストランで、午後の予定に向けてしっかりと腹ごしらえをするのも良い選択と言えます。

午後はドイツ映画博物館で映像の魔法に触れる

昼食後にぜひ立ち寄っていただきたいのが、シュテーデル美術館から歩いてすぐの場所にある「ドイツ映画博物館」です。ここは単なる映画の歴史展示にとどまらず、映像技術の発展や視覚トリックの仕組みなどを、実際に触って体験しながら学べる工夫が随所に凝らされています。

初期の光学機器のレプリカを自分の手で動かしてみたり、グリーンバック合成のスタジオで特殊効果の体験ができたりと、大人から子供まで時間を忘れて夢中になれる空間が広がっています。静かな環境で向き合う絵画とはまた異なる「動くアート」の魅力に、きっとあなたの知的好奇心が大きく刺激されることでしょう。

定番のコースを満喫した後は、滞在時期によって楽しめる特別なイベントについても知っておくと良いかもしれません。

滞在時期が合えばラッキー!必見のアートイベント

フランクフルトでは、美術館群を舞台にした大規模なイベントが年に何度か開催されており、もしあなたの旅行や留学の期間がそれらと重なっていれば、さらに特別な体験ができるかもしれません。

特に有名なのが、毎年8月の最終週末に開催される「ムゼウムスウーファーの祭り(Museumsuferfest)」です。これはヨーロッパ最大級の文化祭典とも言われており、マイン川の両岸に無数の屋台や特設ステージが立ち並び、3日間にわたって街全体がお祭り騒ぎに包まれます。

私がワーキングホリデーの終盤、2004年の8月にこのお祭りに参加した際、夜空を彩る盛大な花火を背景に、夜遅くまで多くの美術館が特別に開放されている光景は圧巻の一言でした。普段は静寂に包まれた美術館の敷地内が、ライブ音楽やコンテンポラリーダンスのパフォーマンスと融合し、信じられないほどの活気と熱気に満ちていたのを鮮明に覚えています。地元名物のアップルワイン(アプフェルヴァイン)を片手に、夜の美術館を練り歩く体験は、他ではなかなか味わえないでしょう。

また、春に行われる「美術館の夜(Nacht der Museen)」というイベントでも、夜間特別営業とともに各館を結ぶ専用シャトルバスやシャトル船が運行され、普段とは全く違うロマンチックな雰囲気の中で夜通しアート巡りを楽しめるようです。

それでは、今回の美術館巡りの旅のポイントを最後に振り返ってみましょう。

まとめ:あなただけの美術館巡りを楽しもう

ここまで、マイン川沿いに広がるムゼウムスウーファーの効率的な巡り方や魅力をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。充実したアート旅にするためのポイントを以下の3つにまとめます。

・お得な「ムゼウムスウーファー・チケット」を活用して入館料とチケット購入の手間を節約する

・月曜休館に注意して日程を組み、見どころの多いシュテーデル美術館は午前中に見学する

・映画博物館などの体験型施設も組み合わせ、様々な角度からアートに触れる

フランクフルトは決してただのビジネスの街や交通の通過点ではなく、ヨーロッパの豊かな文化と歴史をじっくりと堪能できる素晴らしい街と言えるでしょう。あなたもマイン川の穏やかな流れを感じながら、時代を超えた名画や最新の展示に触れ、自分自身の感性を磨く特別な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

美術館巡りのさらに詳しいスケジュール作りや、おすすめのカフェ情報など、現地での滞在についてさらに知りたいことがあれば、いつでもお気軽にお知らせください。

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