これからドイツへワーホリや留学に向かうあなたへ。現地での生活に欠かせないのがスマートフォンのネット環境ですよね。この記事では、2003年秋からフランクフルトに滞在した経験を持つ筆者が、現代のドイツにおける携帯電話の契約事情を解説します。通信費を抑えつつ、快適なネット環境を手に入れるためのヒントが詰まっています。ぜひ渡航前の準備にお役立てください。
大手キャリアと格安SIM(MVNO)の基本構造
ドイツの通信事情を把握する上で、まずは提供元の種類を知ることが大切と言えそうです。日本の三大キャリアのように、ドイツにも自社回線を持つ大手通信会社が3つ存在します。「Telekom(テレコム)」「Vodafone(ボーダフォン)」「O2(オーツー)」です。通信速度や山間部などでのエリアの安定性を重視するならTelekomが選ばれる傾向にありますが、月々の料金はやや高めかもしれません。
一方で、ワーホリメーカーや学生に強く支持されているのが、スーパーマーケットなどが提供する格安SIM(MVNO)です。代表的なものに「ALDI TALK」や「LIDL Connect」、「ja! mobil」などがあります。これらはO2やTelekomなどの回線を借りてサービスを提供しているため、時間帯やエリアによっては通信速度が落ちる可能性もありますが、月々の料金を大幅に抑えることが期待できます。たとえば、月に数ギガバイトのデータ通信と通話がセットになったプランが、10ユーロ前後で提供されていることも珍しくありません。
フランクフルトやミュンヘンといった都市部で生活する分には、格安SIMでも電波に困ることは少ないと言えそうです。まずはご自身の滞在エリアと毎月の予算のバランスを考えてみるのが良いかもしれません。大手と格安の違いが見えてきたところで、次は具体的な契約形態について見ていきましょう。
手軽で安心。ワーホリ生活で主流となる「プリペイドSIM」
短期から中期の滞在となるワーキングホリデーや語学留学において、最も選ばれやすいのが「プリペイドSIM」だと考えられます。月々の決められた料金をあらかじめチャージ(前払い)して使うシステムのため、使いすぎを防げるだけでなく、面倒な長期契約の縛りがないのが大きなメリットです。
購入自体は非常に簡単で、ALDIやLIDLといった現地のスーパーのレジ横や、ドラッグストア、キオスクなどでスターターキットのパッケージを手に入れることができます。ただし、購入してスマートフォンに挿せばすぐに使えるわけではありません。現在は法律により、テロ対策などの一環として、身分証明書(パスポート)を用いた厳格な本人確認が義務付けられている傾向にあります。
開通手続き(アクティベーション)は、専用のアプリやウェブサイトからビデオ通話を通じて行うのが一般的です。オペレーターにパスポートの顔写真ページやホログラムをカメラ越しに提示し、本人確認を行います。少し英語やドイツ語でのやり取りが必要になるため、最初は緊張するかもしれませんが、静かでWi-Fi環境の整った場所で行えばスムーズに進むことが多いようです。これも語学学習の第一歩として楽しんでみるのも良いでしょう。プリペイドSIMが手軽で便利である一方で、長期契約型のSIMについてはどう考えるべきでしょうか。
長期滞在向け?契約型(ポストペイ)SIMのメリットと注意点
日本のスマートフォンのように、毎月使ったデータ量や定額料金が銀行口座から自動的に引き落とされるのが「契約型(ポストペイ)」です。もしあなたがドイツに2年以上滞在する予定があったり、現地の新しいスマートフォン端末を分割払いで購入したいと考えていたりする場合は、この契約型が選択肢に入るかもしれません。
データ容量の選択肢が多く、無制限プランなどを選びやすいという利点がある一方で、ワーホリ滞在者には少しハードルが高い部分もあると言えそうです。多くの場合、最低契約期間が24ヶ月に設定されており、途中で帰国などで解約しようとすると、残りの期間の料金や違約金が請求される可能性があります。
また、ドイツの契約社会における特有の注意点として、「自動更新」のシステムが挙げられます。解約したい場合は、契約満了の数ヶ月前までに、書面やオンラインで解約通知(Kündigung)を確実に提出しなければ、自動的に契約が1年延長されてしまう傾向にあります。帰国直前になって解約の手続きで慌てないためにも、契約期間と解約ルールの事前確認は必須と言えそうです。現地での契約事情がわかってきたところで、次に連絡ツールの準備について触れておきます。
ドイツ生活の必需品。電話番号を取得したら「WhatsApp」を準備する
スマートフォンのネット環境と現地の電話番号を手に入れたら、次に忘れてはいけないのが連絡ツールの準備です。日本ではLINEが主流ですが、ドイツをはじめとするヨーロッパ諸国では「WhatsApp(ワッツアップ)」というメッセージアプリがインフラとして定着している傾向にあります。
語学学校で新しく出会った友人との連絡先交換や、シェアハウスのオーナーとのやり取り、あるいはアルバイト先のシフト連絡など、生活のあらゆる場面で「WhatsApp持ってる?」と聞かれる可能性が高いと言えそうです。
WhatsAppは電話番号に紐づいてアカウントを作成する仕組みのため、ドイツのSIMカードを契約して現地の電話番号(+49から始まる番号)を取得したタイミングで、すぐに登録を済ませておくのが良いかもしれません。現地の番号を登録しておいた方が、ドイツ国内の人から連絡をもらう際にスムーズにやり取りができると考えられます。通信環境だけでなく、コミュニケーションの基盤を整えることも、ドイツ生活を豊かにする重要なステップになりそうです。
到着してすぐネットに繋ぐための「eSIM」という新しい選択肢
私がフランクフルトで生活を始めた2003年頃は、街中でインターネットに快適に繋がる携帯電話を持っている人はまだ少なく、連絡手段はもっぱら固定電話やSMSでした。しかし現代では、空港に到着したその瞬間から、地図アプリで現在地を確認したり、家族に無事を伝えたりするためにネット環境が不可欠と言えるでしょう。
現地でプリペイドSIMを買ってアクティベーションを完了させるまでの「空白の数日間」を埋める手段として、近年非常に便利になっているのが「eSIM」の活用です。eSIM対応のスマートフォンをお持ちであれば、日本にいる間に「Airalo」や「Holafly」といったサービスを通じて、ドイツで使えるデータプランをオンラインで購入し、QRコードを読み込んで設定しておくことが可能です。
これを利用すれば、ドイツの空港に降り立ちスマートフォンの電源を入れた瞬間から、現地の電波を掴んでインターネットにアクセスできる可能性が高まります。数日や1週間程度の短期プランを契約しておき、生活拠点が落ち着いてから現地のスーパーで安いプリペイドSIMに乗り換えるという方法が、最もスムーズで無駄のない通信環境の構築術と言えるかもしれません。
ドイツでの携帯電話の契約事情と、ネット環境の構築について解説してきました。今回の重要なポイントをまとめます。
・通信費を抑えるなら、スーパーで手軽に買える「格安SIM」がお得になりやすい
・ワーホリや留学には、長期契約の縛りがない「プリペイドSIM」が選ばれる傾向にある
・開通手続きには、パスポートを使ったビデオ通話での本人確認が必要になることが多い
・渡航直後の通信確保には、日本で事前準備ができる「eSIM」の活用が非常に便利
慣れない異国の地でスムーズに生活の基盤を整えるためにも、ご自身の滞在スタイルに合ったネット環境を確保することは非常に重要です。まずは次のアクションとして、あなたがお使いのスマートフォンが「eSIM」に対応している機種かどうか、設定画面やメーカーの公式サイトから確認してみてはいかがでしょうか。快適な通信環境を手に入れて、充実したドイツ生活のスタートを切ってください。


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