ドイツの食肉事情。薄切り肉が売っていない?現地の精肉店での上手な注文方法

ドイツ生活

ドイツでの生活やワーホリを控えるあなたへ。現地で自炊を始めると、スーパーに「薄切り肉」がないことに驚くかもしれません。2003年の秋から1年間フランクフルトに滞在した際、私もすき焼きや肉じゃがを作れず途方に暮れた経験があります。この記事では、現地の食肉事情と街のお肉屋さん(メッツゲライ)で希望通りのお肉を手に入れるための注文方法について詳しくご紹介します。

ドイツのスーパー事情。なぜ薄切り肉が見当たらないのか?

ドイツの大型スーパーやディスカウントストアの精肉コーナーに行くと、ステーキ用の分厚い肉や、煮込み料理用の巨大なブロック肉ばかりが真空パックで並んでいることに気がつくはずです。これは、現地の伝統的な食文化や調理方法が大きく影響していると言われています。

ブロック肉や厚切り肉が主流の食文化

ドイツの家庭料理では、オーブンで塊肉を数時間かけてじっくりローストしたり、厚切りの豚肉をミートハンマーで叩いて薄く伸ばし、シュニッツェル(カツレツのような料理)にして食べることが一般的なようです。そのため、日本のように野菜と一緒にフライパンでサッと炒めたり、お湯でしゃぶしゃぶにするような「紙のように薄いお肉」を家庭で食べる習慣がほとんどないと考えられます。現地のスーパーのパック肉は、現地の定番料理に適した形状であらかじめカットされているため、日本の家庭料理をそのまま再現しようとすると、少し苦労するかもしれません。

日本食を作る際の大きな壁

私がフランクフルトで自炊を始めたばかりの頃、どうしても生姜焼きや豚汁が食べたくなり、スーパーで一番薄そうなステーキ肉を買って帰り、自分の包丁で必死に薄く削ぎ切りにしたことがあります。しかし、一般的な家庭用の包丁では薄く切るのには限界があり、時間も手間もかかってしまい、お肉の繊維も崩れてしまいました。ワーキングホリデーや語学留学で長期滞在する多くの日本人が、早い段階でこの「薄切り肉問題」に直面する傾向があるようです。

この自炊における悩みを解決するためには、スーパーのパック肉ではなく、対面式で販売してくれる専門のお店を活用するのが一番の近道とされています。

救世主は街のお肉屋さん(Metzgerei)。対面販売の基本ルール

ドイツには「Metzgerei(メッツゲライ)」と呼ばれる精肉店が街の至る所や、駅の構内などにあります。また、少し大きめのスーパーの中にも対面販売の精肉カウンターが併設されていることが多く、ここでは店員さんに直接要望を伝えて切り分けてもらうことが可能です。

専門店ならではの新鮮さと種類の豊富さ

メッツゲライの清潔なショーケースには、牛、豚、鶏などのお肉が部位ごとに大きな塊でゴロゴロと並べられています。スーパーのパック肉よりも新鮮な状態が保たれており、必要な分だけをグラム単位で無駄なく買えるため、一人暮らしの自炊にも非常に便利と言われています。また、手作りのハムやソーセージ、マリネされたお肉、さらには温かいお惣菜なども豊富に揃っており、見ているだけでも現地の食文化の豊かさを感じられる空間かもしれません。

お店に入ってから注文するまでの流れ

対面販売はドイツ語でのやり取りが必要なため少し緊張するかもしれませんが、基本的な流れさえ掴めば決して難しくありません。まずはお店に入ったら店員さんや周りのお客さんに「Hallo(ハロー)」と軽く挨拶をし、自分の順番が来るのを待ちます。混雑している場合は番号札を取るシステムのところもあるようです。店員さんと目が合い「Bitte schön?(何にしましょうか?)」と聞かれたら注文の合図です。指差しで「Das bitte(これをください)」と伝えるだけでも十分通じますが、量をお願いする際は「グラム」を使うとスムーズに伝わります。例えば「200グラムの豚肉」なら「200 Gramm Schweinefleisch, bitte」となります。

お肉の種類と大まかな量を伝えられるようになったら、次はいよいよ最大の難関である「薄く切ってほしい」という要望を伝えるステップに進みます。

失敗しない!薄切り肉を手に入れるための魔法のドイツ語フレーズ

メッツゲライでブロック肉をそのまま買うのではなく、業務用のスライサー(お肉をスライスする機械)を使って薄切りにしてもらうためには、いくつかの決まったフレーズを使うと効果的です。

薄切りをお願いする際の必須キーワード

最もよく使われ、伝わりやすいのは「ganz dünn geschnitten(ガンツ・デュン・ゲシュニッテン:とても薄く切って)」という表現だと言われています。「dünn」が薄い、「geschnitten」が切られた状態、という意味を持ちます。「これをとても薄く切っていただけますか?」と丁寧に頼みたい場合は、「Könnten Sie das bitte ganz dünn schneiden?」と伝えると良いかもしれません。

また、用途を伝えるとさらに店員さんがイメージしやすくなります。「Für Sukiyaki(すき焼き用で)」と言っても現地の店員さんには伝わらないことが多いため、「Wie für Carpaccio(カルパッチョみたいに)」と伝えると、極薄にスライスしてくれる可能性が高まるとされています。

フランクフルト滞在時の私の失敗と成功体験

私自身、フランクフルトで初めてメッツゲライに行った際、「dünn(薄く)」とだけ伝えたつもりでしたが、スライサーではなく包丁で「少し薄めのステーキ」ほどの分厚さに切られてしまい、落胆して帰った思い出があります。そこで、次の機会にはジェスチャーを交えながら親指と人差し指で数ミリの隙間を作り、「Ganz dünn, bitte! Mit der Maschine!(とても薄くお願いします!機械を使って!)」と必死にアピールしてみました。すると、恰幅の良い店員さんが笑いながら奥の巨大なスライサーを動かし、見事な薄切り肉を作ってくれたのです。あの日、薄切り肉で作った手作りの肉じゃがの美味しさは、今でも忘れられない思い出となっています。失敗を恐れずに、身振り手振りを交えてコミュニケーションを取ることが大切だと実感しました。

無事に薄切り肉を手に入れられるようになった後も、ドイツならではの豊かなお肉文化をせっかくなら満喫したいものです。

薄切り肉以外も楽しめる、ドイツならではのおすすめ肉事情

日本食を作るための工夫も海外生活では大切ですが、現地だからこそ手軽に味わえる美味しいお肉の楽しみ方もたくさん存在します。

多彩なソーセージと加工肉の世界

ドイツのお肉屋さんに行くと、ショーケースの上に吊るされた様々な種類のソーセージに目を奪われるかもしれません。フライパンやグリルで焼いて食べる焼きソーセージ(Bratwurst)だけでも、ハーブが入ったものやスパイシーなものなど地域によって味が異なります。また、パンに挟んで食べる薄切りのハム(Aufschnitt)も驚くほど安くて美味しいものが揃っているため、朝食や軽食用に数枚ずつ買ってみるのもおすすめです。店員さんに「Probieren?(味見する?)」とハムを一枚渡されることもあり、そうしたやり取りも対面販売の醍醐味と言えます。

ひき肉(Hackfleisch)を活用した自炊アイデア

薄切り肉が手に入りにくい一方で、ひき肉(Hackfleisch)はスーパーでもメッツゲライでも非常に安価に手に入ります。豚のひき肉、牛のひき肉、そして合い挽き肉(Gemischt)が定番のようです。私はワーホリ中、この安価なひき肉を使って、大量のハンバーグを作って冷凍しておいたり、トマト缶と一緒に煮込んでミートソースを作り置きしたりして、食費を節約しながら自炊を楽しんでいました。ひき肉なら切る手間も省けるため、忙しい語学学校の帰りなどには大変重宝するはずです。

現地の食文化の豊かさを知ることで、スーパーのパック肉だけでは見えなかったドイツの魅力に気づくことができるかもしれません。

まとめ:現地の食文化に適応して、自炊生活をさらに楽しもう

今回は、ドイツの食肉事情と、どうしても薄切り肉が欲しい時のメッツゲライでの注文方法について解説しました。この記事の重要なポイントは以下の通りです。

・スーパーはブロック肉や厚切り肉が主流で、日本のような薄切り肉は見当たらないことが多い。

・街の精肉店(メッツゲライ)の対面カウンターを利用すれば、必要な量だけ購入できる。

・薄切りを頼む時は「ganz dünn geschnitten」や「機械(Maschine)で」と伝える。

・現地の安価なひき肉や、種類豊富なソーセージ・ハムも自炊や日々の食事に積極的に活用する。

フランクフルトでの生活当初は、日本のスーパーとの品揃えの違いに戸惑うこともありました。しかし、片言のドイツ語でお肉屋さんの店員さんとやり取りをし、希望通りのお肉を買えた時の達成感は、海外生活ならではの素晴らしいスパイスになりました。

あなたもぜひ、近所のお肉屋さんに少し勇気を出して足を踏み入れてみてください。店員さんとのコミュニケーションを楽しみながら、ドイツでの自炊生活をさらに充実させていきましょう。まずは次のお休みの日に、お近くのメッツゲライのショーケースを覗いてみてはいかがでしょうか。

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